朝の強い風に、ぶあつい雲がどんどん流されて
昼間は青空がいっぱいのぞいてた。
電車の窓から見る大きな空は、
とても美しかった。
恋こがれるようにずっと見つめて、なぜか泣きたくなった。
まだ一陣の雲がふわりと薄くなって風に流されていく。
こどものころ、飛行機に乗るとママが必ず言った。
「孫悟空みたいだね」って。
そんなとき外の視界は一面真っ白で
私にはあまりおもしろくなかったけど
ママはうれしそうに窓の外を見つめてたっけ。
孫悟空だけが知っている雲の上の世界を
楽しんでいたんだね。
雨が降ってかなしくなると
ママの孫悟空の話を思い出す。
あの雲の上は明るくて、一面真っ白で
うんと晴れていることを。