私の知る何人かの若い女の子は
当たり前のことだが、毎日彼氏のことに夢中で、
とにかく彼とのスケジュールが最優先、
クリスマスやお正月も
平気で家族のイベントをぶっちぎる。
そんな彼女たちを見て、苦い思いがこみあげる。
私も、あんなだったな。
たとえ相手が自分向きの男じゃないと、
どっかで分かっている場合でも
なぜか家に帰れない。
恋愛道をひたすら突き進むのみ、
若さって、愚かでパワフルだ。
23歳くらいのとき、
理由は忘れたけど私は彼氏とケンカをしていて
ボーッと家にいた。
父はその日家にいなかったので
母と私はデパートでおいしいお弁当を買ってきて
二人で食べていた。
そこへ彼から電話がかかってきて
仲直りをしたい様子、
それを敏感に察知した母は
「行っておいで」と優しく笑った。
私はお弁当を食べかけたままで
慌てて出かけていき
彼とファミレスでまずいご飯を食べた。
家で一人お弁当を食べている母の姿を
なるべく思い出さないようにしながら。
恋というのは、一瞬の産物で、
そこから愛というものについて考えたり、学んだり、
体感できるかどうかだ。
相手との相性によっては、それができないこともある。
若い私はバカで、愛することをちゃんと学べないまま
不毛な歳月をすごして、
その間、母に寂しい思いをたくさんさせてしまった。
今でもときどき、居間で一人お弁当を食べている母の姿を
思い出してしまう。
そのあと10年もしないうちに
母と会えなくなってしまうことを知っていたら
私は毎日、母と夕食を食べただろう。
愛を学ぶなら、人を慈しみ、思いやり、
何より、愛のある人との時間を大切にするべきだ。
今になって分かること、
でもそれは、
自分で分かっていかなければならないこと。