先日「成人の日コンサート」というのに行った。
久しぶりのクラッシックのコンサート。
しみたなぁ、
乾いたスポンジが水をぐんぐん吸うみたいに。
岩城宏之さんの指揮で新日本フィル。
今回はガーシュウィンの特集で
ピアニストには今年成人を迎える松永貴志さんが来た。
で、この松永貴志さんが、とってもよかった。
なにしろ、日本フィルで岩城さんが棒をふるというのに
登場の仕方が新人のお笑いみたいで
ヒョコヒョコと超ニヤけて出てきて、
演奏中もほとんどニヤけていた。
ストイックで神経質、無表情といった
私たちが抱く音楽家のイメージは全くなく、
それでいてピアノは正確で力強く、ものすごいテクなのだ。
何しろリズムがすごく良くて、
岩城さんが「この子ならやれる」と
何十年もやらなかったガーシュウィンのその楽曲を
再演したというのは、まさにうなずける話だ。
この日は成人の日コンサートということで
成人100名をご招待したらしいが、
会場には成人らしき人がほとんどいなくて
平均年齢は50歳くらい。
まあね・・私だって成人の日に
「クラッシックのコンサートに行く」
なんていう品行方正なチョイスは
決してしなかっただろう。
若いころって、やりたいことが
他にたっくさんあるのだ。
大人には分からない。
で、たまに振り袖姿の女の子がいると、
テレビカメラのクルーがどーっと追いかける。
なにせイリオモテヤマネコ状態なのだ。
そんなとき、振り袖の女の子はというと、
ツンと前を向き、
若さゆえの残酷さともいえる冷たい表情を見せる。
あるある、こういうこと。
でも、よーく観察していると、
振り袖を着ていないハタチらしき子もいた。
ジーンズにセーター、化粧っけなし。
華やかな同い年の後ろを
おどおどと通りすぎていく。
自分が何なんだか、どうしていいんだか、
まだよく分かんなくて、
だけど幸せになりたいと思ってる。
あるある、こういうこと。
私はどっちのハタチだったんだろう、って思った。
若さゆえの残酷さもたくさん持ってたと思う。
いま会ったら謝りたい人が山ほどいる。
だけど一方では自信がなくて、
どこかおどおどしてる内面も持ち合わせていた。
つまり二人の私が混在していたのだ。
何だか懐かしくなって、苦笑してしまった。
今は、おどおどしてばっかり。