高校、大学と同じ学校なので
何十年というつきあいの友だちがいっぱいいて
当たり前だが、みんなそれぞれの人生を泳ぎながら
少しずつ大人になっていって(それは今も継続中で)
会うたびに、みんなのさらなる成熟とか落ち着きとか
そんなものが感じられ、
若い頃の集まりと違って、
それは何とも心が穏やかになる時間だ。
先日、そんな親友たちと
お刺身をつつきつつ話していたら
そのうちの一人のやつ(男子)の娘の話になった。
その娘は今、大学生なのだけど、
つきあってる彼氏がいて、その彼はめでたく某大手銀行に就職し、
「たぶん結婚するんじゃないか?」と彼(親友)は言う。
「自由につきあえばいいし、
もうとっとと行ってもらってかまわない」と振り切るように言う彼。
息子しかいないもう一人のやつ(男子)は
「お前、そんなことでいいのかよ!
俺だったらもっと門限とか厳しくして…」と
自分の若き日の行いはなかったことのように言いつのる。
「だって、そんなことしたって…」と、もごもご言う父。
そこで私が
「だって、4年もつきあってて、ハタチも過ぎてんだし
そりゃもうアウトでしょ」ときっぱり言うと、
「そうハッキリ言うなよ」と泣きそうな顔で私を見る。
若さってもんの奔放さとか、勢いとか、向こう見ずさを
同じ時期に実践してきた仲だから、
話は超スムーズに流れていく。
私たちはいつも、どこかでそれを楽しんでいる。
「で、○○ちゃんは、大学を出たら何をしたいの?」と聞くと、
「ほら、どうせ結婚したら駐在だから
ママみたいになりたいらしい」と彼。
「???」
実は、父たる彼も銀行員。
子供が生まれてからもずっと海外生活を繰り返していて
彼女のママは、駐在員妻として(こっからは私の勝手な想像)
おうちでお菓子を焼いたり、ホームパーティーを開いたり、
車で学校の送り迎えをしてくれたりして、
良妻賢母を貫いてきたのだろう。
にしたってだよ、「ママみたいになりたい」には驚いた。
で、思わず言ってしまった。
「じゃ、大学出す必要なかったんじゃん!」
…まあね、大学に行かないと
その彼氏と出会えなかったんだろうけど。
ハタチそこらで、自分の内なる可能性をかえりみず、
大きな客船で人生を航海をするべく、乗り込んでしまうとは…。
私がそこに戻れたら…
うーん、そうだな…。
お芝居もやってみたいし、音楽ももっとやりたい、
物書きを目指すのもいいな…。
とにかく「しっかり勉強→きちんと就職」という
当たり前すぎる概念からぱっと離れて、
自分がどんなことにパッションがあるのか、
どんなことに少しでも才能の芽があるのか、とことん見つめて…
なーんてとこまで考えて、
そりゃあ、今だから言えることだよなーと思った。
若いってことは、バカなのです。
バカじゃなきゃできないことがあるからいいんだ。
彼女の人生だって、まだまだ分かりません。