去年はどんな年だったかなぁ。
メガネっ子になることにようやく慣れて、
それでもなんとか自分に合うコンタクトレンズを探し続けた。
私にとってメガネに慣れるということは、
世間から一歩身を引いたスタンスに慣れる、ということに
とても似ている。
自分の素顔をさらけ出さないで、仮面をかぶっているような、
すべてに対して、お先にどうぞと言ってるような。
私が勝手に、劣等感にも似たものをしょって
日々を暮らしていた。
お正月が明けて、
どうにか我慢のできるコンタクトがやってきた。
ハードレンズはどうしてもムリ。
だからソフトの乾きに耐えねばならないのだけど…。
一日中乾かない快適なソフトレンズがあれば
どんなに高価でも出費を惜しまない。
こんな技術の進んだ国で、
なぜこのような万人の切実な願いが
かなえられないのだろう?
頼みますよ、技術者さん。
不思議なもので、メガネをかけないで歩くと
以前のような緊張を取り戻す。
世間に参加している緊張。
私ってバカだなぁ。
昨日の朝、母の写真の前のお水をとりかえて
手を合わせているとき、
つくづくそう思った。
誰にも強いられていない緊張や危惧を
山盛り背負って、朝を迎える。
ほら、肩の力抜いて、ファイト!と
母が笑っている。
ファイト!
母は子供の私によくそう言って
肩をポンとたたいて、学校へ送り出した。
しょんぼり肩を落としているデブな女の子の姿を
はっきりと思い出せる。
このお正月は、歌を歌っていた。
ファンクラブのメンバーの方たちへの新年のごあいさつにと、
新しい曲を自宅で録音していた。
いつもレコーディングのスタジオで使うシステムを今勉強中で、
それを一人で使ってやってみた。
私には難しいことだらけで、
プロのエンジニアさんてのはほんとにすごいんだなーって、
今さらながらに思う。
出来上がったCDをチェックのために聴いていたら、
なんだか泣けてきた。
この人は、どうにも歌が歌いたいらしい。
でも、いらだつほどに率直で、不器用。
どうしてあげることもできない、私には。
だから、ほっておくことにした、この人を。
ほっとかれたまんま、
また新しい年を歩き始める。
ファイト。