伊勢正三さんと山本潤子さんのジョイントライブ。
伊勢さんはここ数年、何度もライブを聴かせていただき、
お話もさせていただいて、
すっかりファンになっている。
日本のフォーク界を築いてきた重鎮であるにもかかわらず
とってもきさくでピュアで、
ライブは、まるで少年のように心底楽しそうになさるので、
私まで今すぐにでも歌い出したい衝動にかられる。
「音楽が好き」という、とてもプリミティブな、
でも一番大切な気持ちを思い出させてくれる人だ。
その伊勢さんが元ハイファイセットの山本潤子さんと
ジョイントのアコースティックライブをされるということで、
早速出かけた。
潤子さんのナンバーは、
「翼をください」「卒業写真」「フィーリング」など
まさに小学生のとき歌ったり聴いたりしていた曲がずらり。
「翼をください」は
音楽の教科書に載っていて、
音楽の時間にクラス全員で歌った覚えがある。
「この大空に翼を広げ飛んでゆきたいよ」のくだりは、
何か自分が得体の知れないものに拘束されているような気になり
そこからの脱却をはかるべく大声をはりあげて歌った。
それが何とも大人っぽい予感を心に生じさせ
満足したものだ。
「卒業写真」は
子供心に、なんでそんな寂しい思いを
わざわざ歌にするのかなと思った。
人ごみに流されると人は変わってゆくのかと
これから訪れる未来がちょっと怖かった。
「フィーリング」
これは、おそらく私が初めて弾き語りをした曲だ。
ピアノの楽譜を買ってもらって、
子供のとき住んでいた小さな家の小さなリビングの
アップライトのピアノで
大人びた気持ちで演奏をしていた。
潤子さんが何ともいえないハスキーで深みのある声で
「フィーリング」を淡々と歌いあげる。
「今 あなたと私が 美しければ それでいい」
突然、このフレーズに胸を射抜かれた。
こ…こんな歌詞を小学生の分際で歌っていたとは…
今、その歌詞の持つ鋭い力が痛いほど分かるまでに
大人になった。
結構、時間かかります。