私は宝塚の舞台を見たことがない。
でもずーっと観てみたかった、
ダンスと歌、私の二大好きなもの。
晴れて今回、お友達が誘ってくれて、
宝塚のOGと劇団四季などの男優さんを交えた舞台を
観に行けることになった。
場所は青山劇場。
私がこの劇場の正面にある学校の高校生だった頃、
ここはまだ工場跡のような野原で
柵をくぐってバレーボール大会の練習をしていた。
そこがこーんな華々しい場所となるとは、
高校生のまんまるな私は想像だにしなかった。
宝塚について何の予習もせず、
のんきに出かけていくと、
そこはもうお客さんも女の園、
何か目に見えない秩序のようなものも感じ、
等身大のスター達のポスターの前で
順番に写真を撮ったり…
みんなどことなくおめかしもしてるし、
何かそれっぽい雰囲気はどんどん高まってくる。
幕が開いて、いきなりショーのシーンから。
高らかな音楽、きらびやかな衣装、
少女漫画から飛び出したような美しいメイク、
おしろいのにおい。
もう最初の数秒で、感激のあまり泣きそうになる。
宝塚の圧巻なところは、
観客に夢を見させきる、というところだ。
夢を見させる、なんていう甘っちょろいもんでなく、
見させきる、ということ。
架空のストーリーの中の架空の人物が
目の前の舞台の上で、笑い、泣き、歌い、踊る、
それでも観客はその時代のその時間を共に生き、
共に笑い、ときに涙を流す。
そして女性達は、ことごとく美しく、
恥じらいや迷いをみじんも感じさせることなく
役を徹底的に演じきる。
私はずっと口を半開きにして感動しっぱなし。
最後のカーテンコールでは、
すっかり私も目はハート。
劇中では、宝塚の下級生で
荒削りでピュアな女の子を演じていた女性が、
ラメの入ったタイトなブラックのパンツスーツを身につけ
真っ赤な口紅を塗り、髪を妖艶にたばねて
シャープで色っぽい踊りを見せる。
お尻のラインがまたとってもきれい。
客席に向けてニヤリとするクールな笑顔には
もうほとんど卒倒しそうになる。
久しぶりに恋をしてしまった。
恋っていいなあ。