最近よく電車の中で目にする光景は
老人が老人に席を譲っているところ。
その横で若いコがヘッドフォンをしたまま
寝たふりしてたり・・。
先日、自分がトシを取ったと感じるのはどんな時か
という話を友だちとしていた。
私も彼も共通していたのは、
「電車の中で若いコの言動が気になるとき」。
あきれて思わずジィーッと凝視してしまうような
そんなことが多々あるのだ。
でも自分もハタチくらいのときは
こんなふうに大人のヒンシュクをかっていたんだろうと
思いなおす。
しかし、スッピンで電車に乗ってきて
終点でフルメイクになる芸当は
さすがにできなかった。
揺れる車内でカンペキにアイラインを引く技も素晴らしく、
凝視してしまう種目のひとつ。
電車の中のメイクについて、
私はよく考察してしまう。
そんな場所で必死にメイクを試みるのは、
これから会う会社の人とか、彼氏とか、
とにかくその人たちにスッピンで会うのが嫌だからで
ある程度の羞恥心とか社会性だと思うのだ。
でも彼女たちの照準は、会社や彼氏のみに当てられていて
そこまでの電車の中という「社会」は無視ってことか・・。
この前、座る席がなくて立ったまま
パウダーファンデーションを顔に塗ってるコがいて、
電車が揺れた瞬間にそれを床に落としてしまった。
女の子ならみんな知ってると思うけど、
ファンデーションは粉々に床に飛び散ってThe End.
ああ、何という展開・・
私だったら顔から火が出るほど恥ずかしい。
彼女の心中を察すると、気づかないフリをしてあげるのが
一番の思いやりだと思いつつも、
動揺してチラチラ彼女を見てしまった。
すると彼女はバッグからティッシュを取り出して
必死に床をふき始めた。
電車に揺られながらも、しゃがみこんで一生懸命に・・。
私の中で、彼女の立ったままメイクする精神と
床を丁寧にティッシュで拭く精神が水と油のように交錯して、
なんだかさらに動揺してしまう。
うーっ、どうしよう・・。
と、そのとき、彼女の前に座っていた老婦人が
「これを使いなさい」と
静かに彼女にウェットティシューを手渡した。
おおーっ、やられた・・。
私もまだまだです、先輩。