ライブが終わって1週間が過ぎた。
私は、練習であれ本番であれ、
歌を歌っていないときは、
本当にただのボーッとした人間だ。
歌手としての自覚やプライドがほとんどなくて、
今この瞬間、歌っていなければ、
自分が歌手だと信じることができない。
ブログに自分の音楽の話が全然ないのも、
それが理由に他ならない。
音楽は音を鳴らしてこそ、そこにあるもの。
というわけで、
まるで遠い日の花火のように、
まるで人ごとのように、
ライブの日の記憶を今たぐり寄せている。
今回は、18曲中8曲が新曲という
私のライブ史上初の暴挙(!?)に出たのだが、
松田真人さんがすべてに素晴らしいアレンジをしてくださって、
これが私の作曲の意図を見事に射抜いたもので、
さらにまた私たち世代にはたまらない80年代テイストが
随所に織り込まれていて、
歌っていても、とても楽しかった。
歌った後にお花をいただくというのは、
いつも実はとても落ち着かない複雑な気持ちで、
勝手に好きなことをやって、
ともするとすべてはお客様に「許容」していただいてるんじゃないか
という恐怖の中、
お花をいただくなんて一体どういう了見なの!?
と自分にツッコミを入れてしまう。
ただ今回は、
お花をいただいて、皆さまの笑顔に包まれたとき
初めて「天国だ…」と思えた。
ムダに真面目で不器用で、何をやってもパッとせず、
成果もあるんだかないんだか…の人生で
それでもなお、のろのろと前を向いて歩いていることに
神様が微笑んでくれてるような気がした。
ライブを始めて15年以上がたった今、やっと
人に伝える歌は、どう歌うべきなのか
少しずつ分かってきた。
伝えようとするとついオーバーアクションになってしまったり、
カッコよく歌おうとしてしまいがちだけれど、
実はステージの上こそ、
一つ一つの音を大切に、体の芯から発する、という
内なる作業を淡々とこなさなければいけない。
見つめるべきはステージの外ではなく、
自分が今、まさに発している音だ。
全身を耳にしてその音を生み、送り出す。
一見当たり前のことのようだけど、
そのことを理解し、見据えることができるようになるまで
とても時間がかかった。
まだそれは習得に至っていない、気づいただけだ。
ただ歌いたいというパッションだけでは
到達できない場所だった。
うーん…やっぱり自分の音楽のことを文章にするのは
どうにも居心地が悪い。
けれど私の中では大切な人生のポイントだったので
自分のために書いておこう。
何年か後に読んだら、どう思うかな。
きちんとそれができているような歌手になっていたいな。