私の家の前には
お屋敷のような家があって
それは、私がちっちゃいころ
豪華なお菓子の家なんかを想像して
画用紙に描いていたような、まさにそういう家なのだ。
大きな門、広いエントランス、
赤と白のレンガ、白い窓枠、うろこのような模様の屋根。
庭には、おっきな木がたくさん植わっていて、
家の前の道は、そこだけ外国の街路樹の道のように
黄色い落ち葉で埋め尽くされる。
私は自分の背丈ほどもある長いほうきを持って
ざざっ、ざざっと道をはく。
はいてもはいても
落ち葉は知らん顔をしてそこにある。
れれれのおじさんみたいだなーと感慨にふける。
考えてみたら生まれてこのかた、
れれれのおじさんのようなことは
したことがなかった。
初体験だ。
たのしい。
私は自分の仕事部屋も、
そのお家が見える道側の部屋にした。
こうして窓を空けておくと、
黄金色の葉と、もみじの真っ赤が
目に飛びこんできて
そのむこうには赤と白のレンガが見えて
まるでどこかの別荘にいるような気分になる。
今も風にサワサワと音を立てて
葉がぱらぱらと落ちている。
12月だ。