去年越してきたこの家の決め手は、庭だった。
リビングの大きな窓から一面の庭、土のにおい。
とはいえ、しばらく借り手がいなかったせいか
庭は雑草にボウボウと覆われて、
何本かある木も一体何の木なのか
よく分からないほどだった。
あれから半年、
暖冬のせいで、我が家の庭も春。
まったくの枯れ木だと思っていた枝に、
鮮やかな紅梅が
日ごとに花をつけていく。
そして、3本の椿の木。
これは濃いピンクと薄いピンクと赤。
それに、深紅のバラ。
10センチ近くある大輪がどんどん開いていく。
よーく見ると、背の低い何本かの木は
どうやらツツジかサツキ。
もっとあったかくなると
今度はたくさんのかわいい赤やピンクの花が
見られるのだろう。
チュウチュウしちゃおっかな、久しぶりに。
だあれも人が住んでいないときも
この庭の花たちは、
こうして春を待って花を咲かせていたんだろうなぁ、
雑草に覆われながら、淡々と。
そんなふうに、潔く生きていきたいものだ。