日記に何にも書くことがないな、
と考えている今日このごろのことを
日記に書く。
日記は、なんで毎日書けないかというと
心の中がぐちゃぐちゃしてる日は
そのぐちゃぐちゃを
あまり形に残しておきたくないからだ。
言葉は、ときとして人を殺す。
自虐的なことや、自己憐憫にあふれたことを
書いてばかりいると、
それがだんだん100%ほんとのことのように思えてくる。
文筆家たちに自殺者が多いのも
実はこんなシンプルな理由なのでは、と
私はずっと昔からそう思っている。
彼らは心のぐちゃぐちゃを
瞬時に巧みに言葉にしてしまうから。
そして、そのとおりだと、自分を暗示にかけてしまうから。
でも、人間の心や、人間そのものは、
決して言葉でくくりきれないものだ。
小説が楽しいのは、
その限界に挑んでる姿だからだし
実際の人間の心や姿は、もっとあいまいで
流動的で、形がなくて、無責任でお調子者。
そんな日々の
おもしろかったり楽しかったりしたことを
なんとか言葉にするのは悪くないけど、
ぐちゃぐちゃドロドロの怪物を
必死にかきあつめて残しておくこともない。
これは私の持論。