大学のクラスメート(男)の結婚式。
なんと初婚。
…と前置きしなければならないほど
あれから長い年月がたった。
山奥ののんびりしたキャンパスで
子供みたいにふざけまわって
どうすれば授業をさぼれるかばっかり考えてたあの日々。
休講になると喜びいさんで海へドライブへ出かけた。
海が呼んでるときは、授業をぶっちぎってドライブへ出かけた。
とにかくドライブざんまいの学校生活。
みんな全然勉強しなかったのに、
やがては鳥かごのふたが開いたみたいに
パタパタとそれぞれの社会へ飛び立っていった。
今ではみんな相当えらくなって、
大学っていうもんは(少なくとも日本では)
肩書きの要素がおっきいなあと再認識する。
それとも海や山で駆け回る4年間は
何か重要な意味を持つのか…
いや、そうに違いない。
「人をつくる」4年間。
披露宴では私たちクラスメートは完全に浮いていた(と思う)
今回は、彼の奥さんとなる人のお兄さん(彼にとっては義兄)
の結婚披露もするダブル披露宴。
彼のお嫁さんもお兄さんもそのまたお嫁さんも、みんな若くて、
つまり列席のお友達もみんな若くて、
椿山荘のおごそかな雰囲気の披露宴会場では、
皆、初々しくお行儀よくしている。
私たちのテーブルだけ、いつもの飲み会のように超リラックス状態で
新郎新婦の入場のときはヒューヒュー騒いで盛り上げ
一気に座がなごんだ(と思いたい)
我らの新郎も、紋付き姿の扇子で頭をたたいて照れて
林家三平のようだった。
楽しい一日だった。
出張をひっかけてカナダから来たヤツもいたし、
大阪から車を飛ばしてきたヤツもいた。
最後は二次会で、新郎その2である義兄さんにピアノを弾かせて
カラオケの十八番を熱唱していた連中…。
酔っぱらうと男の子の誰かが服を脱がされる(または自発的に脱ぐ)
というのが私たちのお決まりなのだが
今宵もまた、ふざけあってワインをワイシャツにジャーッとこぼし、
脱がせバトルが始まった。
はい、いつもの光景。
あの頃と違うのは、
子供たちが同席しているとヤツらはこれをやらない。
子供がいないと一気にあの頃に戻ってしまう、forever21。
そこだけは大人になったなあと感心するのである。
帰りのタクシーでは、
さすがに男たちも疲れておとなしくなった。
東京で暮らすには、やっぱある程度のお金がいるよなあって話とか、
子供を1人育てるのに最低2千万はかかる話とか、
どんなふうにこれからの仕事をやっていくかとか、
そういう現時的なことをボソボソと語り合っている。
私は子供もいないし、女だし、お気楽な人生を歩んでいるゆえ
これを生中継のカメラのように客観的にながめている。
鳥かごからパタパタと飛び立って25年。
あっという間だったなあと思う。
気づけば白髪が生えたり薄くなったり
近くが見えにくくなったりして、
みんな「人間」を一生懸命やっている。
いまだにバカをやってても、皆それぞれ、
でも同じように、時間を歩んできたのだなあと思う。
目の前に広がる景色は広々としていて、
とめどなく時間があるように思っていた
(いや、それさえも考えなかった)あの頃。
あっという間に夏の季節は過ぎて、
私たちは秋風に吹かれながら
それでもなお
「人をつくる」作業は、つづく。