昨日、外苑前から渋谷までタクシーに乗ったら
それはなかなか素敵な時間だった。
運転手さん「さっきはすごい雨でしたね」
私「ええ、久しぶりに・・
ここんとこまるで空梅雨のようだったし」
運転手さん「そうですね、街路樹も嬉しいんじゃないかな・・
道はどこから行きますか?・・じゃあ、明治通りから。
この時間、ここだけ少し混むけど、
原宿の駅を過ぎれば大丈夫です、心配しないでくださいね」
彼は一年半前にサラリーマンをやめ、この仕事についたそうだ。
さりげなく会話を交わしながら、きれいな運転をする。
お客が気持ちよく乗れるよう最大の配慮をしている。
自分の仕事に誇りをもってやっている人を見るのが好き。
たとえば、スーパーの駐車場の誘導をしてくれるおじさんとか、
スポーツクラブの自転車置き場の整理をしてくれる
おじさんとか。
みんな背筋がピンとのびていて、元気で礼儀正しい。
スポーツクラブのおじさんときたら、
自転車を置くと「いってらしゃい!」と言ってくれて
帰りには「お帰りなさい、お疲れさまでした」と言う。
私なんか、いくら体のためとはいえ、
スポーツ選手じゃないし
ジムには遊びに行ってるようなものなのに
何十年も汗水流して働いてきた人生の先輩に
そういう言葉をかけられると恐縮してしまう。
だから精一杯心をこめてお礼を言って帰る。
今の私たちの世代や、その子供たちが
60歳くらいになったときに、
あのおじさんたちみたいに、
礼儀正しくプライドを持って働けるだろうか?
いつもそんなことを思う。
外で太陽にあたって泥んこで遊び、
時には親に殴られ厳しく育てられ、
人の哀しみとか喜びをたくさん分かちあってこないと
あんなふうにはなれないんじゃないかな。
あんな人たちがどんどん少なくなっていくような気がして
すこしさびしい。