親友の新しいマンションに遊びに行った。
そこはカラオケルームや図書館はもちろん、
ゲストの泊まれるゲストルームや、音楽スタジオまである
お城のような美しい建物。
彼女の部屋の広〜い窓からは、
街の景色(富士山を含む)が180度ぐわっと見渡せて、
その夕暮れのゴージャスなこと!
一緒に行った作詞家の友だちが、
ビールを飲みながら思わずつぶやく。
「こんな家に一人で暮らしてたら、私ヤバイな、
たそがれて自分の世界にどっぷり入っちゃう」
私も、首が痛くなるくらい、うなずく。
「まみちゃんだったら、こんな景色を見ながら何を考える?
私はやっぱり、忘れられない恋のことかな」と彼女。
恋…恋…、えーっと、恋?
この夕暮れを見ながら浮かびそうな恋が、
一個もない、さびしーい。
たぶん私が思いをはせるのは、
自分のおいたちとか
家族のいたちっちゃいころのこととか、
そして今とか、
とにかくそういう「自分自身のこと」だろう。
そういえば夏っていうのは、不思議と人に
子供のころを思い出させる。
子供が一番生き生きしてる季節だからかな。
私も楽しい思い出の多くが、夏の思い出だ。
近所のお兄ちゃんやお姉ちゃんと花火をして
スイカを半分に割ってみんなでつついて食べて
皮だけになったらサイダーを入れて
ストローでチュウチュウするのが最高に楽しかった。
でもそのあとトランプをして負けて、ベーベー泣いた。
ママがあきれた顔をした。
思えばごく普通の子供だったんだな、
そのことがやけにうれしい。
それぐらい、大人になっちゃった。