10年ぶりの武道館コンサート。
10年前に聴いたときは、
とにかく感激していただけで
どの曲をどんなふうに彼女が歌ったのか
どうにも思い出せない。
ただ彼女がMCの中で
「皆さん、こんばんは。お久しぶりです。
だいぶ夜もふけ、私もふけました」と言ったのだけはよーく覚えている。
今、私はあのときの彼女と同じ年になった。
だが、この10年はほんの3年くらいに感じる。
驚きを通り越して途方にくれてしまう。
まりやさんという人は、
若い頃から人生のビジョンをしっかり持っていたのだと
彼女の古い友人である野口さんから、よく聞いていた。
そのことは今回のライブでも語っていらして、
自分はちゃんと結婚をして子育てもして
音楽に関しては、在宅で作家活動をしながら
自分らしいことをじっくりやっていきたいのだと
20代の頃からはっきり意識して進み、そしてそのとおりになった。
自分の人生を振り返ってみると、
目の前にやってくる波を乗り越えながら
波を越えたあとは、休憩のためしばしボーッと漂流し、
また波が来たらヨイショっと乗り越え‥というただただ繰り返しで
あっという間の数十年だ。
まりやさんみたいにしっかりビジョンを持って、
のんびり漂流なんかしてないで
波のないときゃエッチラオッラ漕がなきゃいけなかった!
しまったー。
と思っても後の祭り。
これぞ究極の、後の祭り。
いまだどこにも漂着せず‥。
アンコールでまりやさんが不思議なピーチパイとSeptemberを歌った。
小学6年生くらいの頃、初めて買ったレコード「不思議なピーチパイ」。
ステージでまりやさんが涙に声をつまらせたので
一緒に大きな声で歌った。
子供だった自分が半分、私の中で歌ってるような気がした。
まだ船出もしていない頃。