高田渡さんの追悼コンサートに行った。
渡さんとはご近所で、
焼き鳥の「いせや」にいるのをよくお見かけしたし
数ヶ月前の朝、ジムに行くのに公園を通りかかったら
渡さんがコンクリートのベンチで寝ていて、
結局私にとっては、それが最後になってしまった。
いつかバンマス野口さんと
吉祥寺の東急の中を歩いていたとき、
渡さんがむこうからやってきた。
野口さんと渡さんは大の仲良し。
「あっ、渡さんだ」と
野口さんがふざけて売り場のかげに隠れたら
渡さんもむこうで隠れていて、
おじさん二人がかくれんぼをしている間に
私はキョトンと立っていた記憶がある。
やがて二人とも姿を現して、渡さんが
「ここで会ったことはナイショで」とイタズラっぽく笑った。
まだ昼だったのに、すでにお酒の匂いがプーンとした。
あのかわいらしい笑顔が今でも忘れられない。
昨日のコンサートは
渡さんを慕う多くのアーティストが続々とつめかけて、
入れ替わり立ち替わり演奏を続け、
7時間にわたる追悼コンサートとなった。
「あれは誰?」と隣にいる野口さんに聞くと
「南こうせつ」と言う。
ああ、これが南こうせつさん・・
楽屋には尾崎亜美さんもいたし、
見回せば著名なアーティストばかり。
みんな仕事を切り上げてかけつけたのだ。
夜にはアルフィーや井上陽水さんも来た。
みんな涙をこらえながら「渡さん、ありがとう」と
懸命に演奏を続けた。
すごい人だったんだなあと思う。
彼のライブをじっくり聴いたり、お話をさせていただり
十分にできなかったことがすごく悔まれる。
きっと私が歩いていくうえでの重要なヒントや力を
たくさんいただけたに違いない。
吉祥寺のライブハウスの店長が言っていたなあ。
「渡さんは立派だよ、どんなときでも
出演のブッキングは必ずここへ足を運んで自分でする。
電話で済ませたりなんか絶対しない。
こんちは、って笑ってね、ひょいと顔を見せるんだ。」