朝がた、たくさん夢を見る。
今朝の夢は、学習机の夢だった。
子供のころ使っていた学習机が
ただ、ポンと出てきた。
それだけ。
もう忘れていた、いや…
記憶の引き出しにしまわれて
二度と出てこなかっただろう机と、その細部が
はっきり映し出されて
途方もない懐かしさに包まれた。

今の学習机は、たぶんウッディでシックなものが主流なのだろうが
昭和の時代の学習机といえば、
キャラクターが、ごてごてついていたり、
女の子用に、真っピンクだったり、
たしかそんなふうで、
でも私の母は、子供が身につけるもの(机はそうではないが)は
地味であることを信条としていたので、
当然、そんなものは買ってもらえず、
私の机は、クリーム色のスチール製で、
引き出しなど、部分的にベージュのふちどりがあって、
机の面には、木目っぽい印刷がほどこされていたように思う。
引き出しを開け閉めすると、
スチールがレールを滑るカランカランという鈍い音がして
その音と机の思い出は、一つになっている。
そして、本や鉛筆や文房具の匂いも。

なぜ、あの机が、ひょこんと顔を出したのか、
朝、寝ぼけた頭で、ぼーっと考えた。
守られているのかな…
そんな気分になった。
私がひとりで途方にくれて、
光が見いだせないでいても
あのチビでデブな私が、
そしてこれまでの私の人生が、
いつも君を支えているよ、って。