久しぶりの休日。
髪を切って、まつげサロンに行って、
この日に何もかも片づける。

髪が上手にカットされていて、まつげがくるんとしていて、
眉毛がボーボーでなければ、まあなんとかなる、
と、テキトーなポリシーを作って楽をしている。

ずっと心の穴ぐらで過ごしていて外に出てみると
いきなりピューっとフレッシュな風が吹く。

若い友人に恋人ができたと告白された。
大人な彼女は、はしゃぐでもなく、静かな喜びをたたえて
私に耳打ちしてくれた。
私に話したいと思っていたと、そう言ってくれて
とっても嬉しかった。
穴ぐら暮らしの私が、彼女のこんな明るい心の場所にもいたなんて。

美容院で、アシスタントの男の子が私の髪をブローしてくれて、
そのスッキリした顔の輪郭とか、
色白のきれいな腕、指先、素直な言葉づかい、
それらすべてを、とても美しいと思った。
澄んだ泉のほとりにいるみたい。
髪というものを
生涯を捧げる大切な宝物のように愛おしく思っていることが
その手先とまなざしから伝わってくる。
彼は今やっと、大海原へボートを漕ぎだしたところ。

まつげサロンと同じビルに
写真を撮ってもらっているカメラマンさんのスタジオがあって
久しぶりに顔を出してみた。
するとちょうどヘアメイクさんもいて、
彼女のおなかがぼっこりと大きくなっていた。
毎月、大きくなるおなかの写真を撮ってもらっているそうだ。
なんて素敵!
彼女はとびきりの美人で、品があって聡明でものすごくチャーミングな人。
そんな彼女の子供なら、どんなにかわいい子だろう。
大きなクリクリの澄んだ目で
美しいものをたくさん見ていくだろう。
きっと、たくさんの笑顔を家族や友達に与えてくれるだろう。
彼女とおなかの子供の果てしない未来を思い、
まぶしいって、こういうことだなあと思った。

目の下にくまを作っていた穴ぐまの体に
たった1日でアドレナリンが走りまくり、
顔色が少しよくなった。

まるでカラフルな映画を見てるみたい。
ほんとは私もその映画の登場人物の一人であるはずなのに
客席で見てる。
戻らなきゃ、スクリーンに。