人というのは一日じゅう一緒にいると
よく見えてくる。
ミュージシャンたちとスタジオという空間に
朝から夜遅くまで閉じこもっていて改めて感じたのは
彼らが本当に好きな道で生きているんだなってこと。
何時間も作業を続けていれば人は疲れてくるし、
うまくいかないことがあればイライラもする。
会社にいたころは毎日がその繰り返しで
誰もが神経をピリピリさせていたし、
機嫌が悪かったり、妙に攻撃的だったり、
とにかく静かな戦場だった。
私ももちろんその一人で、
気持ちもトゲトゲして
いつもいろんなことに腹を立てていた。
ミュージシャンたちは、時間がたって疲れようと
何かトラブルが起きようと、どこか淡々と大らかで
穏やかな笑みが決して絶えることはない。
生き生きした瞳は、お疲れさまと手を振る瞬間まで
ずっと変わらないのだ。
私はそのことに純粋な驚きを感じてしまう。
この場所へやって来れて、本当によかった。