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子供のころ、お正月っていうのは
好きなような、嫌いなような、
そんなフクザツな気持ちの数日間だった。
大晦日にかけて母親がいそいそと支度をしているのも
うれしいような、落ち着かないような。
元旦の朝はお出かけ着を着させられて
ふだん使わない和室で仰々しくおせちを食べるのも
うれしいような、落ち着かないような。
ハムやダシ巻き玉子ばかり食べていて
父にギロっとにらまれるのが緊張の一瞬で、
なのにハムや玉子ばっかり食べてしまう子供っぽさ。
なんか堅苦しいなあと思いつつも
いつもと違う雰囲気にウキウキしてつい調子にのって
ガツンと怒られシュンとする・・。
なんかすごーくフクザツなのであった。
それに、テレビ。
お正月はゲイノウジンたちが
すごく楽しそうに騒ぎまくっていて、
アイドルたちはいつにも増してグンときれいで、
おせちでお腹をふくらましているブサイクな自分が
やたら切ないのである。
でも見てしまうのだ、最後まで。
子供っていうのは、自分のいる場所を選べなくて
なんかちょっと居心地悪くても、
ふにゃっと笑ってその場にいなきゃなんない。
こんなの嫌だと
その場を立ち去る術を持たない。
大人になって良かったと思うことは
一にも二にも、自分のいる場所を選べることだ。
ストレスの発生する場所には自ら足を踏み入れないし、
自分が帝国の王になって家を統治できる。
不必要なものはすべて捨てて
必要な心地いいものだけに囲まれ暮らす。
私のお正月に、おせちもテレビもない所以。