私は雑貨屋フリークである。
驚異的な方向音痴の私も
自由が丘と吉祥寺の雑貨屋めぐりなら
路地をかいくぐり自由自在に回れる。
でも、雑貨を買うことが目的ではない。
ディスプレイや食器の肌触りや
ベッドリネンの風合いなんかを吟味して
自分のコーディネイトを想像して楽しむのだ。
このカップでどんなティータイムを演出するかな、とか、
このシーツならこのカーテンをあわせて…とか、
このビンにはどんなグリーンを生けようか、とか。
だから、商品をじぃーっと見つめて
触ってみたり、におってみたり、裏かえしてみたり…
いろんなことをして店内を行ったり来たりしている。
そして1時間くらいウロウロして
何も買わずに出てくることも多い。
それで私の雑貨屋における欲望は
完全に満たされるからだ。
雑貨屋に一歩入ったとたんに
豪雨の中、あたたかいロッジを見つけて入ったような
そんな安堵感と幸福に満たされる。
石けんやアロマや天然木の清潔な香り…。
静かなワクワクが心の底から湧き上がってくる。
完全な一人の世界に浸れる、至福の時間。
だから雑貨屋は「一人」が基本。
いつも思うことなのだが、
彼氏を連れて店に入ってくる女の子の、その彼は
ものすごい手持ちぶさたで、かわいそうだ。
男っていうのは、生まれながらにして
ああいう場所に興味を持てない動物で、
「ねえ見て、これカワイくなーい?」なんて
同意を求めるのは酷だ。
なのに多くの無邪気な女子は、そのことに気づいていない。
「うん、そうだね」なんて彼が言ってくれるのは
ものすごい愛と努力の賜物なんだから
いい加減きりあげようよ。
昨日いた雑貨屋でも、おもしろい考察ができた。
複数の男の子と女の子を連れているお母さんたちがいて
子供のことはほったらかしで雑貨に夢中。
女の子は「ねえ、これなあに?
何に使うの? かわいいね」などと連発しているのに対し
男の子たちは
「ねえ、外に出てようよ」なんて言ってる。
子供にして、男と女。