昨日、歯医者さんの待ち合い室で
そこにあった本を読んでいた。
「子供と絵本」という観点から
皇后美智子さまが外国で講演をなされたものが
本になったものだ。
その中で美智子さまは
幼いころ読んでもらった本で印象に残っているものとして
「でんでん虫」の話をあげられていた。
ある日でんでん虫は、自分の殻の中に
悲しみがぎっしりつまっていることに気づいて
ほかのでんでん虫たちを訪ねて相談するのだった。
でも仲間たちもみんな
「僕の殻にだって、悲しみがぎっしりつまってる」と言う。
誰もがみな同じこと言うので
最後にでんでん虫は嘆き悲しむのをやめた、
というストーリーだそうだ。
当時4歳くらいだった美智子さまは
悲しみというものを知るすべもなく
最後にでんでん虫が「嘆き悲しむのをやめた」というのを聞いて
単純に「ああ、よかった」と思われたそうだ。
そして、大人になってから本当の悲しみを知ったとき
そのころの自分と重ねあわせて様々な思いにかられたと
おっしゃっていた。
去年書いた「向日葵」という曲と
あまりにもシンクロするので興味深かった。
今朝がた、夢を見た。
母の病気が再発して、
私は横になっている母の温度を感じながら
「ママ」と呼びかけている。
そこに美智子さまがいらしたので
私は「でんでん虫のお話のこと、拝見しました」と
泣きながら皇后さまにお話ししているのだ。
朝、複雑な思いで目が覚めた。
朗らかに暮らしていても
心の目をこらせば、たくさんの悲しみを内包して生きている。
自分の悲しみ、他人の悲しみ・・
ここしばらく、そのことを忘れていた。